旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2008年03月

久しぶりに池波作品の文庫本を2冊購入。
やはりこの方の本は面白くて
あっという間に読み進みました。

その1冊が「食卓の情景」という食に関するエッセイ。
私が池波作品が好きなのも
物語のところどころに、食べ物がでてくるのです。
それが登場人物の性格とか、生活振りとかを物語る
重要なソースになっているような気がします。

それでなくても、食いしん坊の私は
仕掛け人・藤枝梅安を何度となく読み、
手早くておいしそうな料理がでてくると
それをレシピに作ってみたりしたものです。

料理の描写がいい人は食いしん坊に違いない。と、
勝手に思い込んでいる私。
今回もその思い込みがぴったりと当たり!
もっと早くこの本を読んでおけば
東京や京都へ行った時の参考になったのになと思いました。

池波氏の食生活には
ご家族も関わりが深いので
当然、このエッセイにも登場してきます。

一番最初に登場する、池波氏流の女たちの揉め事の解決方法。
なかなかの亭主関白ぶりと思いましたが、
家庭でうまいものを食べたいと思うのなら、
それだけ家族への配慮をしなくてはならないそうで、
なるほどと、とても参考に(?)なりました。(笑

旅行に出掛ける前には…とガイドブック代わりに考えていましたが、
こうして読み終わると、それだけではないなと。
料亭のお料理から屋台やお団子屋さんの事まで
そして、料理に関する含蓄も
ただの料理本やガイドブックよりも深くて、面白い。
それは、池波氏の生活の中の出来事だからかもしれません。
何度となく読みそうな、いい本に出会いました。

東海地方のことも載っています。
そこに、いつかは行きたいと思っていたお店が…。
これは行っておかねば、と思ったのでした。(笑

あとがきには、現代の日本人と食物との関係を
予測したかのような文がありました。
この本が発刊されたのは、昭和48年。
当時から日本人の食生活の変化が感じられていたようです。

この本には、インスタント食品などは一切でてきません。
頑固なまでに味にこだわる職人たちのお店。
私も、こだわりのお店を持っておきたいなと思いました。
そういうお店をひとつでも知っていると
楽しいだろうな。。。

トレッキングシューズも買って、
今年は富士山に登ろうなどと
体力のことも考えずに思い立ったものだから
少しでも歩くことに慣れないと、
低山ハイキングのガイド本などを買っても
いまだシミュレーションのみ。

女性の方が書かれている登山のホームページを見つけ、
怪我をした後のトレーニングのために
金華山に登ったという登山日記がありました。

金華山は、岐阜市内にある320mほどの山。
頂上には、織田信長の居城となった岐阜城があります。
ロープウェイもあり、
山のふもとには、美術館や公園などがある観光スポットです。

それまでただの観光地と思っておりましたが
そのホームページを読んで
小学校の時の遠足で登った三重・多度山(標高403m)、
5合目からの岐阜・御岳山(標高・距離わからず…)
以来の登山挑戦に!

まぁ、まずはこれぐらいの高さからと思い、出掛けたのですが…

金華山は何本もファミリー向けから
上級者向けの登山コースや、ハイキングコースがあり、
ふもとの岐阜公園の駐車場から、
すでにたくさんの「歩き」の格好をした人々が山を目指していました。

瞑想の小径コース(初級)2300m、約50分のコースを選んで
9時過ぎにスタート。
ところどころに、偉人のお言葉が書かれた看板を読みながら
まだまだ緑も少ない山道を歩きます。
最初はなだらかな山道で、
これくらいなら大丈夫とたかをくくっていたら
徐々に岩肌がみえてきて、急な道もでてきました。

スピードをなるべく抑え気味にして、小さな歩幅でゆっくりと。
ゼイゼイハアハアと息があがるのはペースが早い。
などと、確か本に書いてあったことを思い出しながら、
そしてたびたび休憩しながら歩きました。

途中から岩場を登るような道になり、
股関節が痛くなってきました。
日頃の運動不足なのか、
足をあげるたびに、右の股関節が痛み
でもあと少しで頂上。最悪ロープウェイで帰ればいいと
思いながらも、岐阜城の石垣が見えた時には10時半を過ぎていました。

初級コースでも私には結構なもの。
これで富士山に登ろうだなんてとんでもないことだ。。。
でも、金華山の山頂から眺めた岐阜の町は
とてもきれいで、気持ちの良いものでした。

股関節の痛みも和らいできたので
同じ瞑想の小径で、1時間ほどでふもとへ戻りました。

金華山は、国有林で野鳥の保護区。
ゴールデンウイークの後半頃から
ツブラジイという木の黄色い花が一斉に咲き、
黄金色に染まるのだとか。
金華山の名前の由来になった木だそうです。

春の景色もきれいでしょうね。
山は侮ってはいけませんが、
自然の美しさは感じたい。
標高は低くて手軽に楽しめる金華山の
他のコースも登ってみたいと思いました。

その前に、体力づくり!ですな。

今回の出張を兼ねての東京行き。
横浜中華街で点心。
雪で大きく予定も変わり、
仕事の日は、一日3万歩歩き、
初めて泥鰌を食べ、寄席を体験し…。

江戸東京博物館のホームページで
地図や開館時間をチェックをしておきながら
休館日を忘れていた事。

相変わらずのツメの甘さ、天然ボケもありましたが、
十分に「江戸」を楽しみました。

その最後の締めは、静岡丸子宿の丁字屋。
随分前に行ったことのある、とろろ汁の有名店です。

広重の「東海道五十三次 鞠子」にも
とろろ汁という看板が描かれたものがあるそうで
その頃には、店があったという老舗ですね。

普段は、一食にごはんは茶碗一杯くらい。
もちろん、レディースサイズです。
でも、とろろ汁となると、おかわりしちゃいますね。

とろろ汁・麦飯・漬物・お味噌汁の定食をオーダー。
麦飯に、滋味あふれるとろろ汁。
薬味をのせて、音をたてて食べる(かきこむ)。
そんなざっかけない感じ(笑)のごはん。
お櫃にはいった麦飯は、すぐになくなり、
もちろんお代わりをいただきました。

こちらの茅葺き屋根の建物もステキ。
古い建物の中で食べるとろろ汁は
郷愁もあり、とてもいい雰囲気。
この建物はぜひ残していただきたい。
周囲の景観も変わらずにいてほしいなと思いました。

江戸満喫にふさわしい旅の最後のごはん。
あ〜おなかいっぱい♪と満足して
家に向かいました。

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デザインを生業としているのもあって、
一年に数回の小旅行をしたい。
その中で、最低一回は東京へ行って
街を歩いてこようというのが、私の中の目標。

マーケットリサーチとまではいかないけれど、
街、建物、売られている商品、美術館や博物館。
見るものが何かしら私の力になるような気がします。

そして、今回の江戸満喫の旅。
我ながらいいプランで、なかなか楽しいものでした。
今回は「旅は、ごちそう」のタイトル通り
くいだおれました。。。(笑)

20代の若かりし頃、
文楽、歌舞伎、落語と意味も内容もわからず、
背伸びをして何度か観に行きました。
名古屋での公演はホールでしたが…。

しばらく日本の芸能といわれるものから遠ざかり、
外国の街と文化など海外のものに目がいった20代後半から30代。
40代を過ぎ、再び興味が日本に向いてきました。

相方も落語好き。そして落語ブーム。
興味の矢印と、世間のブームが
同じ方向を向いているようで
初心者向けの書籍が発売されたり、
インターネットでも落語コンテンツがあったり。
古典芸能に触れる時間が増えてきました。

でも名古屋では、落語はホールで観るものが主流です。
ですから、今回の東京行きを決めた時
寄席に行きたい!寄席の雰囲気を観てみたいと思ったのです。

仕事を終えて夕方、池袋演芸場へ。
こちらはお弁当などの持ち込みもいいらしく、
チケット購入後に、駅前のデパ地下で
夕飯のお弁当とお茶を購入。

入り口から地下への階段を降り、演芸場の中へ。
100名程はいるらしい演芸場は
平日の夜でも結構人がいました。

子供の頃、テレビでみた覚えのある
神楽、切り絵など落語以外の演芸もやっていて、なかなか楽しい。
そして、その芸のすばらしさには驚かされます。

落語家の名前も、話もほとんど知りませんが
高座での表情、言葉なども「芸」なのでしょう。
同じ話でも、落語家の解釈、演じ方で
いろいろ違ってくるのでしょうね。

この雰囲気。味わえてよかった。来てよかった。

落語も歌舞伎も、話の筋がわかっていたほうが
より楽しみが増すのではないか。
そんな事を思うようになりました。

そして、名古屋での落語の公演をチェックしたりしているこの頃です。

東京2日目の朝、さっそく築地へ。
初めての築地市場です。

旅先に市場があると、寄りたくなる私。
活気や生活感いっぱいの
あの雰囲気が好きです。

玉子焼きを頬張りながら
たくさんの働く人たちの
じゃまにならないように市場内を散策。

今回の目的は朝ごはん。
カレー、パン屋…。
いろいろ気になるお店はあったのだけれど
今回はやはり海のもの!

どこをどう歩いたか、細い路地をはいって
丼屋さんが並ぶところに到着。
古い建物の1階。
いくつか店があるように思いましたが同じ店のよう…。
海鮮丼をいただきました!

マグロにウニ、イクラ。
なかなかこんな丼は食べないぞと
朝から新鮮なネタの丼をいただく。
ん~贅沢です。これぞ旅の味わいです。

朝ごはんを食べてからまた一回り。
今度は魚がし横丁というところを歩きました。
先程の市場よりも小さめですが
いくつか店も立ち並び、なかなかいい雰囲気。
そして寿司屋さんなどは大行列(!)
驚きました。なんだこの行列は!!

もう朝ごはんを食べた後。。。
今度築地にきたら、
こちらの横丁でご飯を食べてみようかなと
次回の楽しみにとっておくことにしました。

だいたい一回りしたところで銀座へ。
今回は、半分仕事のために東京へきたので
約束の時間まで銀ブラしようかと
まずは築地から銀座へ徒歩で向かいました。

しかし!銀座の店が開くのは10時~11時頃。
迂闊でした。朝早すぎでどこも店がやっていない。
仕方ないので、まずは喫茶店で時間つぶし。

目的としていたお茶屋さんも11時開店。
それでは仕事に間に合わないので
静かな朝の銀ブラとなりました。

そのまま日本橋の千疋屋へ。
様変わりした日本橋の町。
たしかここにがあったはず。でもない!
私の覚え間違いか。

あきらめの気持ちでいたら
お向かいの素敵なビルに千疋屋の文字。
移転されて、さらに素敵なお店になっていました!

こちらのカフェでパフェをいただき、仕事へ。
なんともまあ、時間もおなかも充実した午前中でした。

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