久しぶりに池波作品の文庫本を2冊購入。
やはりこの方の本は面白くて
あっという間に読み進みました。
その1冊が「食卓の情景」という食に関するエッセイ。
私が池波作品が好きなのも
物語のところどころに、食べ物がでてくるのです。
それが登場人物の性格とか、生活振りとかを物語る
重要なソースになっているような気がします。
それでなくても、食いしん坊の私は
仕掛け人・藤枝梅安を何度となく読み、
手早くておいしそうな料理がでてくると
それをレシピに作ってみたりしたものです。
料理の描写がいい人は食いしん坊に違いない。と、
勝手に思い込んでいる私。
今回もその思い込みがぴったりと当たり!
もっと早くこの本を読んでおけば
東京や京都へ行った時の参考になったのになと思いました。
池波氏の食生活には
ご家族も関わりが深いので
当然、このエッセイにも登場してきます。
一番最初に登場する、池波氏流の女たちの揉め事の解決方法。
なかなかの亭主関白ぶりと思いましたが、
家庭でうまいものを食べたいと思うのなら、
それだけ家族への配慮をしなくてはならないそうで、
なるほどと、とても参考に(?)なりました。(笑
旅行に出掛ける前には…とガイドブック代わりに考えていましたが、
こうして読み終わると、それだけではないなと。
料亭のお料理から屋台やお団子屋さんの事まで
そして、料理に関する含蓄も
ただの料理本やガイドブックよりも深くて、面白い。
それは、池波氏の生活の中の出来事だからかもしれません。
何度となく読みそうな、いい本に出会いました。
東海地方のことも載っています。
そこに、いつかは行きたいと思っていたお店が…。
これは行っておかねば、と思ったのでした。(笑
あとがきには、現代の日本人と食物との関係を
予測したかのような文がありました。
この本が発刊されたのは、昭和48年。
当時から日本人の食生活の変化が感じられていたようです。
この本には、インスタント食品などは一切でてきません。
頑固なまでに味にこだわる職人たちのお店。
私も、こだわりのお店を持っておきたいなと思いました。
そういうお店をひとつでも知っていると
楽しいだろうな。。。