旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2007年06月

私は愛知県の西尾張地方の出身です。
これまでに県内を3回ほど引越しました。
今は愛知県の北東部、お隣は岐阜県です。

西部から東部に引っ越すと、
同じ県内でも、文化や生活の違いを感じることがあります。

こちらに住むようになって知ったお菓子「おこしもの」。
おこしものって何?
スーパーの生菓子の棚に並んだりしています。
(ただし、大手スーパーでは見たことがありません。)

お団子のような白い生地に、食紅などで色付けした生地を彩りで使っていて、
鯛とか、梅花とか、いろんな形があります。
今の華やかなお菓子とは、ほど遠いくらい素朴さをカンジます。

こんど食べてみようと思っていると
いつのまにか、時期を過ぎているようで
その気になった時には、店頭にはありません(笑
だから、いまだに食べたことがないのですが…

インターネットで見てみると
おこしものは、愛知県、名古屋に伝わるお菓子だそうで…。
米粉を熱湯で混ぜて練り、木型にその生地をぎゅっといれて蒸す、
という昔から家で作られているようなお菓子のようです。

もちもちしたお団子のような生地で
お雛さまの人形にお供えした後に
ちょっと焼いて、砂糖醤油などをつけて食べるということです。
できたてに砂糖をつけて食べるのも、おいしいそうです。

愛知県に住んでおりながら、全然知りませんでした。
お菓子用の木型も、各家庭でいくつか持っていたそうで
その家の形があったようです。

通信販売で遠くのものや
話題の商品が手に入れやすくなったとは言っても
その土地、その土地で伝わるものがあるのですね。

最近は、「あんどーなつ」という和菓子店で修業する
女の子が主人公のマンガなどがあって
ちょっとお菓子にも興味をもっています。

粉モノ(団子モノ)は
割りと手軽にできるお菓子なのですね。
米粉もお米屋さんに売っているし、
スーパーに並ぶのを待たなくても
作っちゃえばいいんですよねぇ。

でも、我が家の木型もあったほうがいいかな、なんて
形からはいろうとしている。
いつになったら、食べれることやら。

またまた、書店で「おぉ!」っと興味を持ち、
少し立ち読みして、思わず京都本を買いました。
「京都本」というストレートなタイトルの雑誌です。

甘みもあり、お寺や仏像もある。
お土産やデパ地下紹介もある。
パンもごはんも喫茶も、町家も…
定番情報じゃなく、新しく、ちょっと通っぽい。
なかなかおもしろそうなので、即購入です。

身内のお骨を、京都の西本願寺大谷本廟に分骨させたこともあり、
20代の頃は、シーズン毎に京都を訪れておりました。

朝早めに自宅を出発し、大谷本廟へお参り。その後京都散策。
もともと京都が好きなんですね。
初めての一人旅も、京都でした。
どちらかというと、そちらに比重がおかれていたかもしれません(笑

お墓をたててからは、京都へ行くこともぐっと少なくなり、
仕事も忙しくなり、
京都関係の雑誌なども読むこともなくなりました。

しかし、最近は地方の情報誌などが
愛知県でも普通に書店に並ぶことも多くなりました。
長野、東京、京阪神、沖縄…
ガイドブックよりもディープで
新しい情報がたくさん載っています。

その中でMeets Regional という雑誌の別冊本は
我が家の近くでも手にはいります。

テーマを持ったなかなかの情報量で
ガイドブックにもなるし、
読み物としてもおもしろい。
情報も新しいですしね。

最近はもっぱら、Meets Regionalの別冊本が
私の京都ガイドブックになっております。

少々雑誌のターゲットとしては
私はかな~りハズレていると思うのですが
旅のガイドブックとして、かなりのお役立ちツールです。

といっても、
いざ出掛けるとしても、Meets片手にというわけでもなく、
体力的にも広範囲を歩けるわけでもないんですが。

今度出掛ける時の参考に…。今は読み物として増えつつあります。

午前中から昼までの時間潰しのために
カーナビに従って、訪れた堀江オルゴール博物館。
山の上の高級住宅地の中に建つ、
こちらもりっぱな建物でした。

大きな玄関ドアをはいると、
ロビーには大きな木製のオルゴール?
最初は大きなオルゴールか、置物かと思ってしまいましたが
解説者の方によると
ヨーロッパなどで屋外で演奏されるストリートオルガンだとか。

ストリートオルガンはハンドルを手で回し、
空気を送りこむ仕組みのようです。
音楽にあわせて穴が空いたノートに空気が送り込まれ、
メロディが奏でられるそうで、
太鼓が鳴ったり、バイオリンが弾かれたりと
何も知らない私には、その仕組みに興味津々。
日本のからくり人形のようです。

この仕組みはハンドルやぜんまいを回すヒトの力と、
音楽を記録させた穴のあいたノートによるもののようで、
自動で演奏されるピアノやバイオリンなども保存されておりました。
自動演奏はオルゴールと相通ずるものなのですね。

オルゴールは電気もコンピューターもない時代、
時計職人によって作られたはじめたそうです。
時計職人だからこそ、オルゴールが発展していったのかもと思いました。

音楽を記録させたシリンダーやディスクを
ぜんまいを動力として奏でる。
音楽を記録させるシリンダーにピンの配置したり
ディクスや紙に穴を開けたり…。
私には気が遠くなるように思われます。

家具のような大きなオルゴールから
ティーポットを傾けると音が出る小さなものまで
生活の中に音楽があるということで
メーカーもでき、広く普及していったということです。

しかし、蓄音機やラジオの普及で衰退していったそうです。

3階建てのステキな博物館の中には
18〜20世紀頃のオルゴールがたくさんありました。
一個人の収集ということですが
それはとてもすばらしいもの。
小さいけれども、質のよい博物館でした。

そして3階からの眺望。
当日はあいにく黄砂のため、ぼんやりとしか見えませんでしたが
それでも芦屋の街が見えます。
オルゴールの音と歴史、そして建物を楽しめる
ゆっくりと過ごした1時間でした。

これまでお土産とかでもらったものとか
携帯電話の着メロぐらいでしか
オルゴールの音を聞きていませんでした。

古いオルゴールから流れてくる音には、古さを感じませんでした。
とても気持ちのよい、心を和ませてくれる音です。

手元にひとつ、オルゴールをもっておくのも
いいかなと感じました。

所用で西宮へ。朝到着し、昼まで時間を潰すことに。

9時前から昼まで何しようか…。
普通だったら、喫茶店やマンガ喫茶などで
過ごすのかもしれないけれど
それではもったいない!と思うのが私流。

コンビニに立ち寄って、
ガイドブックで、おもしろそうなところはないかと立ち読み。
一応、お茶とか別のものを購入ました。

お昼まで過ごすなら美術館がいいなと思い、
まずは地図から、それらしい名前を探すと、
「堀江オルゴール博物館」という名前が一番最初に目に留まりました。

オルゴールというと、小さなおもちゃのものか
アンティークのディスク状のものか
私の知識は、その程度のものです。

施設の名前をカーナビに入力すると、
あった!すぐにコースと、所用時間が出てきました。
車で30分くらいのところなら
見る時間もあるし、約束の時間ぐらいまでには戻れると
すぐに出発しました。
カーナビとは、なんとまあ便利なものでしょう!

一応、私の必需品でもある地図をもっていっていましたが
カーナビの示すコースを、その通りに走ります。

知らない土地を走るのは、結構好きなほうです。
地図を見ることも大好きです。
しかし、地図を見るたびに路肩に車を停めて
地図で自分の位置を把握して、
曲がるところの信号を覚えて…。
信号を覚えるのも、ままならなくなると
それも苦痛ですよね。

カーナビのおかげで、知らない土地で
施設の名前だけの入力で
目的地に到着することができました。
現代はなんと便利になったものか。

ただし!目的の「堀江オルゴール博物館」は
山の上の高級住宅街にあり、
宅地造成していたり、新しい道ができていたりと
すぐ近くを走っているのに、なかなか到着できませんでした。
周辺をグルグル、グルグル…。
最終的には、私のカンで到着しました(笑。

カーナビとは、すごく便利なものですが
すべては、まだまだまかせられない、
人間の判断も必要というのは、まあかわいいものです。
車についているといいですねぇ。

東京国立博物館で開催中の「レオナルド・ダ・ヴィンチ −天才の実像」。
偶然、会期中に東京へ出張。
わりと時間が自由になる身とはいえ、
午前中、自宅で仕事を大慌てで片づけ、
新幹線に乗れた時に、すでに疲れてしまったという
時間に追われたような日でした。

平日とはいえ、上野公園の人の多さに
やっぱり東京は都会だなあと
田舎モンまるだし(笑

昨年も訪れた本館では「受胎告知」が公開されていました。
照明をおとした広い部屋の中に、
受胎告知が浮かび上がり、
それを見る人々は極めて静かでした。

ダ・ヴィンチの遺した絵画の数は、極めて少ないとか。
1472年の作品とは思えないほど、きれいなものでした。

ダ・ヴィンチは、ルネッサンスと呼ばれる時代にあたるのでしょうか。
布や天使の羽根や調度品などの質感、
遠近法による構図など、ダ・ヴィンチのすばらしさを実感します。

そして、この企画展の興味深かったところは
ダ・ヴィンチのメモやスケッチを公開し、検証している展示でした。

これまでいろんな書籍やTV番組などで
ダ・ヴィンチのスケッチなどを見ておりますが、
たいして気にも止めておりませんでした。

目にしたのは、
スケッチを忠実に試作した木製のヘリコプターや飛行機。
スケッチに表されている人体や動物の精密さ。
そこから比率を割り出したり、
様々な機械の設計図などなど…。

もう私にはちんぷんかんぷんの内容です。
芸術だけでなく、天文、建築、解剖学、科学…
彼の興味はひとつの分野には留まらなかったようです。

画家として、正確に描きたいと思っていた探求心のようなものが
どんどん深く、広くなっていったのでしょうか。
限られた人生の中で、これだけ膨大なことを考え、
探求できるのでしょうか。
それが「天才」といわれるところかもしれません。

現代では普通に知られている知識の中には、
ダ・ヴィンチの好奇心や探求心がもたらしたものが
多数あるでしょうね。

時間をつくってきてよかった、
見ることができてよかった展示でした。
いかに私は歴史を知らないか…。
もっとダ・ヴィンチを知りたいなと思いました。

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