旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2007年05月

仕事の関係で、東京へ。
仕事だけではつまらないので、スケジュールを調整して
わずかでも東京の街を歩こうと思っていたのです。

デザインの仕事は、
見るもの、聞くもの、感じるものすべてが
私の仕事に繋がっているといっても大げさじゃないと思います。
インターネットや、デザインの本を読んでいても
視野が狭くなっちゃうし…。

若い頃は、一年に数回京都に行っていました。
それが最近は東京に目がいっています。
江戸文化や、大好きな下町風情、
ファッションやデザイン、建築など
最新のものから、古いものまで。

今回はわずかな時間なので
前もって計画を立てましたよ。

昨年も訪れた東京国立博物館。
本館の外観や、建物の中の階段や、照明などを見ても
重厚さが伝わってきます。
日本で最初の博物館で、膨大な国宝を所蔵するという
博物館として、重要な地位にあると思います。

常設展でも見れないかなと思っていたら
ちょうど「レオナルド・ダ・ヴィンチ −天才の実像」が開催中。
「受胎告知」や素描やスケッチなどを公開しているとか。
これはぜひ見ようと、予定よりも数時間早く家を出ました。

国立博物館は、本館、平成館、法隆寺の宝物館などなど
広大な敷地の中に、大きな博物館があり、
とても一日では、見ることができません。

今回のように「これを見るゾ」と目的を絞っても
かな〜り歩き疲れました。
結局、今回は本館と平成館での、ダ・ヴィンチ特別展のみ。
建物を鑑賞する余裕はありませんでしたね。
もっと足腰を鍛えて、時間に余裕を持って
訪れなければと痛感しました。(苦笑

ダ・ヴィンチについては、あまり知識がありませんが
天才と呼ばれる彼のすばらしさを感じた時間です。
こちらの感想は、また次回に。

岐阜県には「せせらぎ街道」という
なんとも誘われる名前の道路があります。

せせらぎ街道は、高山市内から南下し、
旧清見町から郡上八幡へとつながる県道です。
現在は日本一面積の広い高山市の市内の道路です。

川沿いに道路があり、白樺などの木々が立ち、
とても気持ちよくドライブを楽しめるので
ドライブコースとしても有名ですね。

新緑ドライブを期待していたのですが
ゴールデンウィークの時期は
この地域はまだまだ緑も少なく、少々残念。
桜の花が咲いているところもありましたので
それだけ標高があるということですね。

このあたりはカタクリの群生地などがあるそうなのですが
もしかしたら、ちょうど咲き頃だったのかもしれません。

途中休憩で立ち寄った道の駅「パスカル清見」。
大きな道の駅でバイクもたくさん停っています。
川沿いに建っていますので
ソフトクリームを食べながら、河原で小休止。

せせらぎ街道の道中にも駐車スペースがあります。
そんなふうに、車から降りて
自然を愛でることもできます。

せせらぎが聞こえてきそうなくらい
川のそばを走りますので
運転していても、車から降りても、楽しめる道なんですね。

途中、旧明宝村(郡上市)あたりで、きれいな芝桜が目にはいりました。
あるお宅の畑に芝桜が植えられ、
無料で公開されていました。

ピンクや白や薄紫などの芝桜が斜面に広がっています。
それはそれはきれいなものです。
まさに花のじゅんたんです。

そのお宅の奥様が丹精こめて育ててきたそうなんです。
その意思を引き継いだ方々が
どんどん苗を植え続け、駐車場も提供されているようです。

周辺のお宅や施設の外構にも
たくさん芝桜が植えられて、とてもきれいでした。
明宝は芝桜の街となるかもしれませんね。

ずぼらなところがあるので、
ガーデニングなどのように家で
花や木を育てることはしていないのですが
その分、外で自然を堪能しています。

そしてなんといっても
木漏れ日の中を、窓を開けて走るのが好きなんですね。
寒かったり、暑かったりすると
とたんに不快になってしまいます。

今は本当に出掛けるのに最適な季節です。

今年のゴールデンウィークは暦通りに休みがとれました。

さぁ、どこかへ行こう!とはりきっても、
毎朝流れる渋滞情報で出かける気持ちも萎えてしまうというもの。
でもせっかくだからと意を決して
朝早く起きて、岐阜県の高山方面へと出かけました。

がんばって朝5時半頃に起き、6時頃には出発。
いざ高山へと、高速道路を走ります。
休憩したサービスエリアでは駐車場の車の多さに驚きましたが
渋滞もなく、スムーズに8時前には高山市内に到着。

さずが、観光地。
町並み保存されているさんまち通り近くの駐車場は
すでに満車。
少し離れた市営駐車場に停め、
散策ついでにメインストリートまでウロウロ。

まだ早い時間ですので、店舗は開いていませんでしたが
有名な宮川沿いの朝市はにぎわっておりました。
漬物、お餅、野菜、民芸品、山野草の苗なども売っていて
ここにくれば何でも揃うというカンジです。

前に訪れてから何年たっているか
忘れてしまったくらい、久しぶりの高山です。
古い町並みも、朝市もやはり変わってきていますね。

朝市を眺めながら、「玉天」という看板が…。
初めて聞くお菓子の名前と、人だかりに思わず購入しました。
真四角で、メレンゲのような甘くフワフワした生地に
黄身で作った液を6面につけて、色よく焼いたお菓子です。
きんつばのタマゴ版とでもいうような作り方です。
メレンゲなので、口にいれるとフワッフワで甘さが広がります。
この柔らかい食感を楽しむものでしょうか。

そして、これまであまり食べたことがなかった「高山ラーメン」。
せっかくだからと食べることにしました。
見た目は中華そばです。
こってり系が苦手なんですが、
高山ラーメンは醤油ベースのおつゆなので、結構おいしかったです。
でも朝の10時。それなのにお店はお客さんがいっぱい。
高山ラーメンは有名だったのです。

古い町並みを歩き、飛騨牛の串焼きを食べ、お土産屋さんを巡り…。
かなり歩き疲れても、お昼前。
そろそろお昼ご飯を食べにと、高山を出発しました。

市内へ向かう反対車線は大渋滞!
早起きは三文の得とは、こういうことだなと
ちょっと得した気分でした。
連休の行動は、早め早めに限りますね。

相変わらず、食いしん坊の旅ですね。

昔いただいた招待券があったので
数年振りに愛知県常滑市にある
世界タイル博物館に行ってきました。

常滑市は、伊勢湾に突き出た知多半島にある
古くから焼き物の町として知られている町です。
六古窯のひとつですね。

私の常滑のイメージは
梅干や漬物をつける甕、朱色や赤茶の急須、
土管やテラコッタ、タイルといった建築関係の焼き物などを
思い浮かべます。

我が家の台所にも数個、常滑焼の甕があり、
味噌をつくったりするときには活躍しています。

はじめて、ここを訪れた時は
黒い木の壁が印象的な工場のお隣にあったように思います。
2階建てのこじんまりとした瀟洒な博物館には
世界中から集めたタイルと、その歴史がわかりやすく展示されています。

それまで、さほどタイルに興味を持たなかったのですが
タイルを割ってひとつの形にするモザイク、
小さなタイルを張り合わせて作られる素敵な外壁、
様々な技法で作られたいろいろなタイルを見て
少々視野が広がったように思いました。

各国のタイルの中に描かれる模様は、
私の好きな文様に近いものもあり、
これもまた、興味を持ちました。

これほど長く深く人間に関わっている焼き物・タイル。
工業製品としての生産性や機能性を求められつつ、
芸術面でも様々な形を残しています。
タイルひとつで、いろんな世界が広がっているように感じます。

そしてお隣の「窯のある広場」は
昔、実際に活躍していたれんが造りで煙突のある建物(窯)を
INAXが保存、公開しているものです。
常滑はINAXゆかりの地だそうですね。

こちらでは、明治から昭和にかけての洋風建築のテラコッタや
陶磁の便器を展示しているのです。
便器の収集となると、え~っ!?とニヤリとしてしまいそうですが
形や仕様で時代の流れなどもあるのですね。
美しい染付けを施した便器も、贅沢な代物だと感心しておりました。

少々歩き疲れたので、建物内にある「窯」の部屋へ。
照明を最小限にした暗い部屋には、
座り心地(寝心地)の良い椅子がありますよ。

以前、黒い壁に囲まれていた工場(らしい)敷地には
焼き物や染め付けなどを体験できる「陶楽工房」、
土をテーマにした「土・どろんこ館」など
新しい施設ができていました。
焼き物などのものづくりに触れることができる文化施設となっているようです。

世界のタイル博物館のほうにはピザ・レストランもあり、
ランチの後には、タイルの絵付けなどを体験して、見学する、
なんてこともできそうです。
久しぶりに訪れてみて、近場で楽しめると再発見しました。

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