旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2006年12月

子供の頃、何かと地図を見ていたような覚えがあります。
家族や団体旅行で出掛ける先を下調べしたり。

その頃の地図とは、教材の地図帳。
そうして「愛読書」である地図帳を
すみから隅まで見ていました。

その成果が、小学校の社会のテストで100点をとったことです。
解答用紙の半分以上が白紙のスペースで
そこに日本の白地図を書くという問題。
バランスとか考えながら、何度も消しゴムで消しては書いた覚えがあります。
これは私だけの小さな自慢となっています。
たぶん今では書けないでしょうけど・・・

大人になってからは
旅行先ごとに購入するガイドブックや、
ポケットサイズの小さな地図。
車を自分で運転するようになってからは
道路地図が私の欠かせないものとなっています。

遠出した時は、帰宅後、
今日はどの道を走ったかな♪と地図を見て復習したり、
逆にどこに行ってみようかなと休日のプランを立てたり。
家にいるそんな時間も私には楽しいものです。

海外に出掛けた時も
時間があれば書店に立ち寄り、地図を買います。
インフォメーションに置いてあるパンフレットなどにも
かわいいイラストマップもあったり。
いつのまにか、地図のデザインにも目がいくようになりました。

見やすさ、わかりやすさ、ページをめくる時の感触や重さなど
手にとってから買います。
海外の地図は、文字が読めなくてもいいので
デザインの気にいったものを買っていました。

コレクションというほど思い入れもないのですが
たまに掃除をしていて見つけると
掃除が中断してしまいます。
私にとっては地図とは、なかなか楽しめる本なのです。

最近オープンする書店は、
たいていがショッピングセンターにあって、
広くて、キレイで
暇つぶしにはもってこいのスペースです。

最近お気に入りとなった書店は
郊外のCDなども販売する大型店舗。

広いスペースを活かして、椅子などを配置、
文房具も数は少ないけれども
おしゃれなデザインのものを効果的に陳列しています。

一部の雑誌は表紙を見せて陳列する方法で
手の届かないところにまで雑誌が並べられています。
もちろん立て掛けられた商品は、下の平棚にも並んでいます。
私は探しやすくて気にいっています。

そうやって表紙を見せる雑誌の分野は
女性誌、ファッション誌、旅行雑誌など。

旅行雑誌は、旅好きにはあれもこれも読みたいと誘惑が多いスペース。
キレイな青い海に効果的なキャッチフレースの表紙が並んでいると
つい手にとってしまいます。

最近は国内旅行に目がいっているのですが
「市場」とか「温泉」とか「まったり」とか「江戸」とか「京都」とか
あ〜非常に私のツボをついた言葉です。

昨日は「50代」「東京散歩」と書かれた表紙を見つけ
まだ50代ではないから読まないぞという気持ちと
表紙に書かれた地名に想像を膨らませつつ、
手にもとらずに別の雑誌を購入しました。

しかし、家に帰ってからもあの表紙のイメージが忘れらません。
表紙から察するに、私の興味のある内容らしい。
ということは、私は実年齢よりも上の事が好きなのかなあ、なんて思いながらも
次回書店にいって売られていたら、たぶん買うと思います。

旅のスタイルも歳とともに変わるものです。
今まではそこに行くための旅行雑誌だったのに、
今は読むだけでも楽しい♪
どんどん旅とか、散歩とかの雑誌が増えていきます。

私の旅のはじまりは
雑誌をみて「ここに行ってみたいな」というものが多い。
旅の雑誌は、私のガイドブックとなっています。

ハカリを求めて全国を歩き回ったという秤乃館の館長さんから
秤屋健蔵というお名前の名刺をもらいました。
お仕事上のお名前かと思いますが
これだけでもハカリへの情熱を感じます。

私財を投じて建てられた博物館の中は
これまた買い集められたハカリでいっぱいです。
牛や馬を量る大きなものから、
使い方も目方の単位もわからないものなど
本当にハカリだけの博物館。

数年前に引き取っていただいた我が家のハカリたちは
昭和30〜40年代のもの。
まだまだ新しい部類だそうで
その一部は、現役として使っていただける方々へのお土産になり、
新しい持ち主のもとへもらわれていったようです。

そんな話を伺ったのはつい最近。
前回訪れてから数年経ち、
失礼ながら「秤乃館」という名前も失念していました。

それでも、おおまかな住所と
秤・・・という名称のうる覚えのところで
またもやカーナビに助けられました。

その佇まいは以前よりも年季がはいったように感じます。

少しずつお話をしていくと
秤を引き取っていただいた当時の事など、
数年の空白も埋められたかのように
お互いに思い出され、あっという間に時間が過ぎていきました。

こちらの博物館は
秤屋館長のハカリへの愛情と、そのお人柄と
館長を支えている奥様によって
運営されているのだなと
ちょっとあったかい気持ちになりました。

博物館で人との出会いを感じるなんて
あまりないことですよね。

これまで数回しかお会いしていないのに
秤を通じてのご縁。
大切にしたいものです。

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秤乃館(はかりのやかた)

ちょっと遠くて小さくて、でもおもしろい民間の博物館です。
でも所蔵品はなんと1万点!定期的に入れ替えて企画展を行っているそうです。
三岐鉄道の保々駅が最寄駅のようです。

四日市市中野町1163
TEL:059-339-0936
開館時間:9:30〜16:30(入館)
毎週月曜日・年末年始休館(今年は12/28〜1/6まで休館だそうです。)
駐車場有り

入館料は未確認です。後日更新いたします。

私の両親は牛乳屋を営んでいました。

朝早く起きて、乳酸菌飲料や牛乳を契約家庭に配達。
その後、喫茶店などへ注文商品の配達と
忙しい毎日を過ごしていました。

牛乳屋なので、人がはいる以上の大きな冷蔵庫や
業務用の冷凍庫がありましたが
玄関先から階段下など、
ハカリ関係の商品が陳列してありました。

今思うと、不思議な光景です。
ハカリ屋として、どれだけ売れたか記憶にないくらい
売上げはなかったかと思います。

もともとはハカリ関係の会社で知りあい結婚したらしい両親。
ハカリ屋の副業としてはじめた牛乳屋が
本業となってしまったと聞いています。

借家兼店舗の立ち退きを機に
父の年齢のこともあり、廃業。
移り住んだ公団の押し入れの下半分のほとんどは
ハカリで埋まりました。

陳列棚に並んでいた商品も、まとめてしまうと
意外と収まるものだなと思ったことを覚えています。

両親亡き後も、保管しておりましたが
埃をかぶったままのハカリをどうしようか、
捨てるにはもったいないと、しばらく考えあぐねていたのでした。

できることならば、落ち着く先を見届けたい。
今思えば、子供の頃から見ていたハカリに
結構、愛着を持っていたようです。

あるはずはないと思いつつも、
インターネットでハカリの引き取り先を捜していたところ、
「はかりの博物館 秤乃館」という度量衡の博物館があることを知りました。
しかも三重県!なんと近い!

そのページは、博物館の紹介のみでしたの
さっそく休日に「秤乃館」に出掛けました。

高速道路のインターチェンジから道に迷いつつ、
細い道と古い民家の集落の中に建つ蔵造りの建物。
やっと着いたそこの引き戸を開けると
たくさんのハカリが、所狭しと並んでいます。

すべてがきれいに手を加えられて
古道具屋のイメージを持って出掛けたのですが
大きな間違いでした。

出迎えていただいた奥様、
ハカリへの情熱を語っていただいた館長さん。
この博物館と人柄に魅かれて
家に残るハカリを引き取ってほしいとお願いしたのでした。

路地裏のほかに、
私が“そそられる”風景のひとつに「坂道」があります。

何々坂と名前がついていない生活道路でいいのです。
家の壁や、玄関先を見つつ
のんびり歩いてみたりする。
時々、ほんの数メートルの坂に
惚れてしまうこともあります。

でも、根がお気楽なので
呼吸がゼイゼイするほど急な坂じゃないほうがいいです。

坂道がちょっとカーブしていると
なんとなくいいカンジですね。

もともと昭和などのレトロな雰囲気が好きなので
風情のある古い町並みであるとなおうれしい。

高校時代、美術部のスケッチ旅行で訪れた
三重県のある港町、
細くてなだらかな坂道をスケッチしました。

山が迫って、平地の少ない港町は
車が通れないくらいの幅の狭い道が
迷路のように、家々の間をぬっていました。

道沿いに建つ、ペンキが剥がれた建物の壁や
狭い中を原付きバイクで走り抜ける地元の人。
あいにく、テーマがぼやけているとかで
顧問の先生に指導され、
スケッチとしては、いまひとつだったことを覚えています。

でも高校生の頃から、私は生活感を感じるところが
好きだったようです。

坂道で有名な、尾道や長崎など
行ってみたいところはたくさんあります。

完全に自宅での仕事にシフトした今では
本当に歩かなくなっています。
旅行に出掛ける前に、足腰を鍛えねば・・・。

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