旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2006年10月

富士箱根の旅の3日目。
温泉の町にきたならば、その雰囲気はぜひ味わっておかないと。
ということで、大涌谷へ。

地図で見たところ、はじめはケーブルカーで行こうと思っておりましたが、
車のほうが早いかもとということになり、
こちらも山道をドライブ。
以外と早く到着しましたので、車で行って正解でした。

広い駐車場に、大きな土産物店。
想像していた以上に、大涌谷は観光スポットでした。
駐車場からの眺望も良く、あいにく雲が多い日でしたが
富士山も見ることができました。

駐車場からは坂の歩道を、15分ほど登ります。
いくつもの煙が立ち上る山肌には緑は少なく、
噴出するガスと、そのきついにおいと
普段の体力不足がたたり、
玉子茶屋が開くまでしばし、ぼーっしておりました。

この玉子茶屋で販売される黒タマゴは
大涌谷の名物で6個入り500円。
ひとつ食べると7年寿命が延びるという、ありがた〜いゆでタマゴです。
ここで噴出す温泉の成分で、ゆでた卵が真っ黒になるのだそう。

ここでつくった黒タマゴは
荷物用のゴンドラで駐車場の土産物店に運ばれますが
やはり現場で食べないと、ね。
ここでも食いしん坊の意地がでました。

その後、名古屋へ帰るために
箱根湯本、小田原、東名高速道路をひた走り。
中央道から、富士山をまわった2泊3日の旅は
今回もおなかがいっぱいの状態でした。

ただ富士吉田のうどんが食べられなかったのが心残り。
一度にたくさんのいいことを味わうのももったいない。
また富士にきた時の楽しみにしておきます。

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後日、大涌谷をネットで見てみると、
地獄沢、閻魔台などという立入禁止区域があり、
古くから恐れられている地域であったのだなと想像されます。

歩いた道は遊歩道ではなく、研究路と呼ばれ、
「火山ガスは危険で、
感覚が麻痺してにおいに鈍感になってきたら、ただちに避難」
という看板が立っているそうで(気がつきませんでした・・・)
観光などと悠長なことを言っていては
危険なところでもあるのだなと、改めて気づきました。

2泊目の宿は、箱根の強羅(ごうら)。
たまたま宿がとれたのですが
これまでに行ったことがない土地です。
到着するまで、どんな町だろう、どんな宿だろうと
想像が膨らみます。

箱根の山道を進み、登山鉄道の小さな駅前へ。
駅前では大手リゾート関連のホテルを建設中のため
がさがさした感じがしましたが、
一歩そこから離れると、小さく静かで穏やかな印象です。
旅館や保養所の看板がそこかしこに見られます。

道に迷いつつ、やっとたどり着いたのは
一の湯という
低価格の温泉旅館を展開している企業の
旅館のひとつ。

元は保険会社の保養所として使われていた建物を
旅館として再生したものだとか。

部屋は清潔感があり、好印象。
時間帯によっては
浴室にカギをかけることができて貸切風呂となる
ユニークなサービスもありました。
もちろん、天然温泉。

ふとんの上げ下ろしなどは、お客側がするなどして
接客サービスをできるだけ抑えているようです。
食事も献立はグループで献立が統一されていて
これで材料費も抑えることができるのでしょう。

2名1泊で¥7,800〜、4名だと¥5800〜と
箱根で、しかも温泉でこの価格が可能なのかと実感しました。

お値打ちに旅をしたい私たち消費者には
たいへんありがたい宿です。
ゆったりとのんびりお湯に浸かりながら
この企業にたいへん興味を持ちました。

今回の旅行の2泊目は箱根・強羅に宿をとりました。
宿の到着前に、箱根ラリック美術館へ。

ルネ・ラリックは、アール・ヌーヴォーからアール・デコ時代の
代表的なジュエリーやガラス工芸作家としてあまりにも有名です。

初めてルネ・ラリックを知った頃はいつだったか。
ガラスが好きになって、いろいろな美術館やギャラリーを訪ねるうちに
自然にルネ・ラリックの美しさに魅かれました。

ある時、ラリックの香水瓶だけを集めた展示を観ました。
瓶という限られたスペースの中に様々なモチーフが描き出され、
ガラスという無機質な素材がいろいろな表情を醸し出していました。

そこで初めてルネ・ラリックがガラスを手がけたのが香水瓶だったこと。
そして、ジュエリー作家であった事を知りました。

私がたいへん興味をもったのは
ラリックは日本の美術や文化から多分に影響を受けたようで、
ジャポニズムを感じさせる作品がたくさんあることです。

デザイン業という職業柄、勉強のためにいろいろな作品を観ています。
そんな中でやはり目にとまるのは、
以前から興味をもっている、文様や、伝統工芸品です。

たまたま、箱根ラリック美術館の企画展示が、
金唐紙という平面に描き出された文様と、
ラリックの立体的な文様をテーマにしたものでした。

私の第10回のコラムで紹介した、旧岩崎邸の金唐紙が
偶然にもこちらでも紹介されていました。
まさに、私の興味のツボにはまった展示でした。

こちらの箱根ラリック美術館、できて2年目ということです。
レストランやショップもあります。
広い敷地の中、素敵な建物とお庭を見ながらの
ティータイムものんびりできていいですよ。

素敵な作品をみて美術館で午後を過ごせたこと、
いい思い出になりました。

富士山といえば、
新幹線の中から何度も見ていました。
思い出すとやはり、そのシルエットが浮かんできます。

大きな富士山を目の当たりにしたのは
たぶん子供の頃の旅行以来なのですが
私はその時に見た富士をはっきりと覚えていません。

さほど富士山に思い入れがあったわけではありませんが
ここまで来たならやはり見ておかないと、という
気持ちになりますね。

ホテルの窓から見た朝焼けの富士は
とても壮大で、目の当たりにしたという言葉がピッタリ。
少々雲が多く、霞がかかった富士でしたが
ほんのりと赤みを帯びたシルエットは
まるで水彩画のような静かな雰囲気。

寝起きのボケボケ状態から、ゆっくりと静かに目が覚めていきました。

この日の午前中、河口湖、西湖とドライブしました。
このあたりには、はるか昔、富士山麓が噴火した時に
流れ出た溶岩などの影響でできた風穴が点在しています。

今回見学した「鳴沢氷穴」は、氷柱が垂れ下がり、
1年中0℃という、想像以上に涼しい風穴でした。
冷蔵庫のない時代は、保管庫としての役目もあったようですが
うだる暑さの中、風穴に一歩はいると別世界。
自然の力とは本当に不思議なものです。

そして、ヘルメットをかぶってはいる西湖のコウモリ穴は
ちょっとしたネイチャーツアー。
風穴まで、樹海を少しだけ歩きます。

風穴入り口から、ゴツゴツとした溶岩によってできた岩や壁、
襞のようにうねって細くなっていく風穴の中は
かがまないと進めないコースもあり、探検気分になります。

しかし、水がしみてすべりやすくなっていたり
ゴツンゴツンと頭を天井にこすらせたりと
ちょっとたいへん。ヘルメットは必要ですね。

怖がりの私は、最短の近道コースを選びました。
十分に風穴を楽しみたい方は、他の(険しそうな)道がよいかも。
それなりの服装でぜひ歩いてみてくださいね。

自然にふれると自分がとても小さく思えます。
この樹海も溶岩が流れた直後は何もないはず。
それが木々が生い茂る樹海となるまで
何百年、何千年とたっているのでしょうね。

そんなふうに思える時は、
私の中の何かがリセットされて、リフレッシュしているような気がします。

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