旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2006年07月

もしかしたら、
遠足とか課外学習とかで行ったことがあるのかもしれません。
でもまったく記憶にない。
そこでプラネタリウムにいってきました。

中年の域に達してからの初体験です。
上映の時間まで館内を一回りしましたが、
これがまた、たいへんおもしろい。

科学とか、化学とかの授業は数学の次に苦手な教科でした。
私には縁のない世界と思っていましたが
私たちの生活の中には、随分とたくさんの不思議があって
先進の技術があるのですね。

科学館は子供を対象にしているのでしょうが
小さな不思議な体験がいくつもあって
楽しいものでした。

名古屋市科学館は、生命館・理工館・天文館の
3館から成り立っています。
そこを上から下まで、ぐるぐるっと見てまわりました。
久しぶりにたくさん歩いて
少々疲れてしまいました(笑

夏休みの祝日(雨)のためか、
プラネタリウムは満席でした。

上映前のプラネタリウムは
夕焼けのようなオレンジ色のドームをバックに
大きな投影機のシルエットがとてもきれい。
初めて見る投影機の大きさにびっくりしました。

いよいよ解説が始まり、星が映し出され、
目の前に広がる満天の星に少々驚きを感じました。
しかし、実際に都市で見ることができる星の数は
かなり減ってしまうようですね。

7月は天の川や織り姫・彦星がテーマです。
七夕の逸話にはいくつかあるようです。
星にはかならずといってもいいほど
神話や逸話がありますね。
古代の人々は神話と星で何を伝えたかったのでしょうか。

しかし、私は天の川の位置すら知りませんでした。
それは、今でも変わりません・・・。
勉強になっていませんね。

自然や宇宙の広大さを知るほどに
人とは小さいものだと感じます。
今回は、それを改めて感じました。

子供の頃、夏休みや冬休みの自由研究で
星の観察をしていたのを思い出しました。
あんなに一生懸命見ていた空。
いつからか空を見上げることを忘れてしまい、
感動することもなくなっていることに
気がつきました。

しかし・・・
解説者の方の心地良い説明に、ついウトウト(苦笑
そこは大目にみて、
ちょっと今回はワクワクドキドキと楽しい一日。

記憶力を試すテストでは
全然解答できず、情けなくなりましたが
たまにはこんな休日もいいですね。

その建物が好きでたびたび訪れるところがいくつかあります。
その中のひとつが、
旧天竜市(現在は浜松市)にある秋野不矩美術館です。

ここを初めて訪れたのは2003年。
すでに秋野不矩画伯が亡くなった後でした。

駐車場に車を停めると
丘から美術館の一部がせりだしています。
敷地内の側溝のフタや、木製の街灯は昭和の雰囲気。
地元の天竜杉をふんだんに使っているようです。

坂をのぼりきると印象的な建物が表れます。
初めて見た時は、不思議な建物だと思いました。
数回訪れてみると、土壁と壁から突き出た雨どいが
乾いた砂漠やアフリカをイメージさせると気がつきました。

驚いたのは、館内にはいると靴を脱ぐところ。
裸足になって籐の敷物の上を歩きながら絵を見るというのは
リラックスしていいものです。
本当にゆっくりと絵を見ることができます。
(冬はカーペットに変わっていました。)

これまで見た画伯の絵の中でも
黄色を使った、アジアがモチーフの絵が好きなのですが
白い壁はうまく絵を引き立たせています。
ここは、やはり秋野不矩を一番いい状態で
展示できる場所なのだなと思います。

展示物と建物の関係がどれほどのものなのかは
私にはわかりません。

ただ居心地がいいとか、また行きたいとか、
シンプルにそう思えるものに出会えると
ちょっとうれしくなります。

<img alt="060721.jpg" src="http://todaseminar.com/nakagawa/img/060721.jpg" width="320" height="240" />

時間を気にせずにゆっくりできる時
お近くの小さな美術館を訪れてみてはいかがでしょう。
何か出会いがあるかも・・・。

<small>(建物の全景写真を撮っていませんでした。残念)</small>

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秋野不矩美術館
〒431-3314 浜松市二俣町二俣130
Tel:0539-22-0315

たしか、JR御徒町駅から湯島天神に歩いていった時
道の標識に導かれ、たまたま立ち寄った旧岩崎邸。
三菱財閥の三代目岩崎家本邸として
1896年(明治29年)に建てられたそうです。

かなり広いと思われる庭園の敷地には、
芝庭をかこんで洋館、和館、撞球室(ビリヤード場)と
3つの建物が建っています。
それぞれに特長がありますが
その中のひとつ、重要文化財に指定されている洋館は、
見るからに異国を感じさせる建物や植栽でした。

いろいろな種類の木材を使用した寄せ木細工の床や天井、
模様が素敵なタイル、ステンドグラス、
華やかな金唐革紙の壁紙、調度品のひとつひとつに
贅をつくした凝った装飾が施され、
当時の財閥の裕福さが計れます。

年代を経た壁や柱は
ワニス(塗料)が100年かかって結晶となり、
なんとも言えぬ光沢を放っています。
現代では、修復ができないそうなので
触らないよう注意書きの看板があります。

当時の財閥やその周囲の人々は
豪華な装飾に囲まれて、サンルームで優雅に
外国の要人や賓客たちとどんな話をしていたのでしょう。

関東大震災や戦争などを経て
これだけきれいに残されているのは
とてもすばらしいことです。

入館料400円でとても見ごたえのある見学となりました。
私が興味をもっている文様(模様)を
カメラにたくさん納めたのは言うまでもありません。

和館では、お抹茶と和菓子もいただけるようです。
また機会があったら
緑が美しい広い芝生と洋館を眺めながら
お茶を飲みたいものです。

私はモノをデザインすることを生業としています。
それはたくさんの物を見、聞き、感じることから
なにかしらヒントが生まれてきます。

デザインのネタはさまざま。
クライアントの要望にあわせて資料を捜しまくりますが
普段の生活の中で見つけたモノを
その時のためにストックしておくこともあります。

その中で、私が参考にしているもののひとつに建物があります。

特に古い建物。
建築そのものもすばらしいですが
建具や内装には、今にはない手の込んだものがあります。

階段の手すりのカーブの具合や、
壁紙、天井、ランプの形、家具・・・。
可能であれば、撮影しまくっています。

なかでも装飾は、お国柄や年代によっていろいろです。
また、昔の建物は現代のもの以上に
細部にわたって職人の技が集まったものでしょう。
建物を見ると、すばらしい職人の技や、
その時代の装飾に触れることがあります。

そんな事に気がついた頃から
仕事のために見ていたことに
興味が加わりました。

そして、いつのまにか私の旅の目的のひとつに
その地の建物を見ることが加わりました。

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