旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2006年06月

時々思い出しては行く、大須観音の骨董市。
毎月18日、28日に境内にたくさんの店が並びます。
私は数ヶ月に1回、28の日にふらふらと
商品を物色しながら散歩しています。

「市」のあの雰囲気が楽しい。

市に限らず、
旅先では市場に寄ることが多いし、とても好きです。

さて、古いモノといってもそのジャンルはさまざま。
私は骨董というよりも昭和の時代のモノが好きです。
骨董というには新しい。でもちょっとだけ古い。
いわゆる「レトロ」とか「USED」ですね。

子供の頃に使っていた
セルロイドの箱や、企業のノベルティー。食器。
私は、形や柄などに心を奪われるのですが
購入金額は、あくまでもチープ。
そして食器などはセットよりも単品買いです。

このところのブームで、昭和レトロは人気の商品。
私が探している鋳物のテープカッターは
なんと10,000円(!)
随分前に引っ越しの際に処分してしまい、
欲しくなった頃には高価なモノになっていました。

若い頃には古くさく思えたのですが
好みというものは、変わっていくものですね。
たいへん惜しい。。。

今回の購入品は、乳白色がきれいなガラスのカップ&ソーサー。
薄い赤みや黄、青色など見る方向によって色みが違ってみえます。
また、飲み物をいれると色が変わるだろうなと
そんなことを想像しながら買いました。

店主のいろいろなセールストークがありましたが
やはり1セットのみの購入。
最初の1杯のインスタントコーヒーがおいしく感じました。

梅雨の合間の晴天。今シーズン最高気温の暑い中、
汗をカキカキの骨董市歩き。帽子を忘れたことに後悔。
野外の「市」は、気候のいい時がおすすめです。

今回の若狭からの帰り道に、
長浜市の黒壁スクエアに立ち寄りました。
久しぶりの訪問なので、すっかり道を忘れてしまい
ちょっとだけ市内観光となりました。

黒壁スクエアは、長浜駅からほど近く、
商店街の一角にある古い建物を
ガラス関連の工房やショップ、レストランなどへ再生した、
観光スポットです。

と、以前はただの観光スポットだと思っていました。

しかし今回訪れてみて、
<strong>長浜のガラス</strong>は知名度も高く、
<strong>黒壁スクエア</strong>は商店街の再生として成功しているのではないか、
ということを強く感じました。

四つ角の一部分だったと記憶する
黒い壁の雰囲気のいい建物。
その通り沿いにはショップなどが増えて、ひとつの界隈をつくり、
こんなに店舗があったのかと驚きました。

休日のせいか、あるいは、
今年のNHK大河ドラマの主人公ゆかりの地と
いうこともあってか町を歩く人が多かったのも
そう感じた理由かもしれません。

また突出してここだけが
繁盛しているのではないように感じました。

どこの商店街にも空家や空店舗などの問題があるかと思います。

黒壁スクエアはそうした歯の欠けた部分を
産業や観光とうまく結びつけて、
うまく次に生かしている(挑戦している?)ように感じました。

あるいは、逆に産業や観光を起こしていっているのかもしれません。

見る(鑑賞する)。食べる。作る(体験する)。買う。
この4つは、テーマパークや町づくりのコンセプトなのでしょうか。
今思えば、黒壁スクエアには
これらが揃っているように思います。

これまではただ、ガラスが好きで
訪れていたところなのですが、
自営業となって視点が変わったのか、
違う感想を持つ自分に気がつきました。

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お昼ごはんと商店街散策のみとなりましたが
ガラス制作の一日体験コースもあるようです。

ここ数年、少々、心が忙しかったようで
久しぶりにガラスに触れてみて、
ちょっとだけ忘れていた器やガラスへの興味が
またむくむくと沸いてきました。

ゆっくりとステンドグラスづくりなんぞを体験してみる旅も
いいなと思いました。

国定公園に指定されている三方五湖。
若狭湾に面した若狭町、美浜町にある5つの湖の総称です。
(現在の若狭町は、以前の三方町と上中町が合併して誕生した町です)

先日訪れた日は、雲天でしたがとても穏やかでした。

今回はレインボーラインを走り、頂上へ。
宿のある水月湖の海山料金所から一走り。
約11kmほどの道のりです。

あいにく雲が多かったものの、
周囲の山々と湖を時折眺めながらの
ドライブは気持ちがいいものです。

頂上へは駐車場からリフトを使っていきます。
健脚さんならウォーキング気分で、徒歩でも行けるかもしれませんが
私はまっすぐリフトのりばへ。

山頂の展望台からは
眼下に見える五湖と、それを囲む山々、
その向こうに広がる日本海を一望できます。
それはとても壮大です。

すごい!きれい!こんなありきたりの言葉がでてきません。
(自分のボキャブラリーのなさを嘆くしかありません。)

五湖それぞれが淡水湖、汽水湖、塩水湖と
水質や水深が異なるようで
同じ水の色でも、表情がそれぞれあるようです。
天気が良ければ、その色の違いを楽しむことができるでしょう。

きっと、この景色は何万年という年月をかけてできているのでしょう。
自然とはなんと偉大なのでしょうか。
偉大なものを見ると、自分がとても小さく見えてきます(笑

さて、景色を堪能すると
この山頂公園にはいろいろなものがあります。
ちょっとだけ散歩を楽しんでみてください。

地元出身の歌手の方の記念碑。なんと歌が流れてきます。
めだかの池や、バラ園、
日中友好を祈って寄贈された中国の古鐘『友好の鐘』、
山頂の鎖にカギをかける『誓いの鍵』
新しくできたらしい茶室にて、抹茶とお菓子で一服。

さほど広くはない山頂公園ですが
ほんのつかのまを楽しんできました。

この地を訪れたのは、もう10年以上前のこと。
記憶を辿るように出かけた旅ではありましたが
心に残る感動という気持ちは、いつでも新鮮ですね。

蘇洞門(そとも)めぐり遊覧船の待ち時間に
港内にある持ち帰り寿司屋さんのイートインスペースでお昼ごはん。
お値打ちで新鮮。やはり海の近くで食べるお寿司はいいですね。

その時、店内のポスターの言葉が目につきました。
ポスターのキャッチコピーは忘れましたが「御食国」という言葉。
読み方もわからないし、もちろん意味もわかりません。
その時は、こういう言葉もあるのかなあという程度でした。

遊覧船に乗って蘇洞門めぐりを楽しんでいる時、
バックに流れる観光アナウンスに「みけつくに」という言葉がありました。
何気なくその内容を聞くと、
「みけつくに」=「御食国」(!)だということに気がつきました。
初めて聞く言葉です。

その昔、食材を朝廷に納めていた国を「御食国(みけつくに)」と呼んでいたのだとか。
万葉集では、若狭、伊勢志摩、淡路が御食国と謳われているそうです。
ということは、若狭は朝廷に納めるほどいい(高級な)食材が
豊富にあったということなのでしょう。

たしかに若狭には海産物などを京都まで運んだという、
「鯖街道」と呼ばれる道がいくつもあります。

もちろん冷蔵庫などない時代。
鮮度の落ちが早い鯖をはじめ、新鮮な食材をいかに保存し、京へ納めたのか。
一塩したり、漬ける(発酵する)ことで、旨味が増し保存が効く。
それが、塩鯖やへしこと呼ばれる鯖の糠漬けのことなのでしょう。

保存食、発酵食の不思議さ。若狭の歴史。
ほんの数分のアナウンスに心を動かされてしまいました。

そしてどこの地でも、先人の知恵が生かされた食材は
現代では特産品や伝統食となっています。

下調べもせずに訪れた小浜は、わずか数時間でしたが
知れば知るほど魅力が増してきました。
歴史ある古い町で寺院が多く、国宝も多いと聞きます。
次回小浜を訪れる時は、いろいろな鯖料理を食べて、
町を歩いて、泊まりたいと思いました。

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鯖街道には「京は遠ても十八里」そんな言葉があるそうです。
約72km。1日で小浜から京都まで食材を運んだ昔の人たちの健脚に驚きますね。

皆さんゴールデンウィークはどこかへ行かれましたか?
私は連休中はしっかりと仕事をして、
休みをずらして福井県の三方五湖(みかたごこ)へ行ってきました。

三方五湖は日本海に面した若狭湾内にあり、
愛知県から車で2時間ほどでつきますので
私の子供の頃にも出掛けた覚えのある観光地です。

今回は突然、船にのって日本海側からの景色をみたくて、
三方五湖からさらに小浜市の港からでている
蘇洞門(そとも)めぐりに行こうと思い立ちました。

小浜市は初めて行く地ですが、ちょっと調べてみると、
古くから栄えた町で名所や文化財などがたいへん多いようです。
日本海に面した地でもあることから食の宝庫でもあり、
京都へ鯖を運んだという鯖街道が広く知られています。

当日、朝はゆっくりとすごし、お昼すぎ小浜港に到着。
遅めのお昼ご飯を港で、おいしいお寿司を食べ、
遊覧船の出港時間を待ちました。

あいにく雲の多い日でしたが、風がなく穏やかな水面の中。
船に乗るのは何年ぶりかと少々ワクワク。

蘇洞門は、花崗岩が波に削られた海岸が様々の表情を見せています。
切り立った崖、滝、洞窟、、、
つかのまではありましたが、自然の美しさ、偉大さを感じました。

船では蘇洞門の歴史、岩の名付けのいわれなどのアナウンスが流れていました。
崖に踏ん張るようにしてはえている松。
冬はその松を飲み込むほどの大きな波が打ち寄せるとか。

船がない限りは自分でいくことができない日本海側の景色。
いつのまにか忘れていた感動を、久しぶりに味わいました。
きちんと下調をしていない旅では
このような遊覧船に乗ることはいいですね。

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