旅は、ごちそう。(中川賀代子)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

昔、学生の頃、
東京をよく歩きまわりました。
映画をみたり、美術館にいったり、街を歩いたり。

今ほど手軽に流行を手に入れることができない頃。
名古屋にはないものがたくさんあって
ワクワクしながら歩いたのを覚えています。

流行の先端を垣間みたり、人の多さにびっくりしながらも
ホッとした気分になれたのが表参道にあった古い建物。
とても印象的でした。

古い建物の中にも、お店がいくつかあって
古さとおしゃれさをカンジた街でした。

その建物が「青山同潤会アパート」という
古い集合住宅であると知ったのは、名古屋に戻ってからしばらくたった後でした。
たまたま雑誌などで見かけたのだと思います。

そこだけ時間がゆっくりと流れていくように感じるノスタルジックな雰囲気は
「いい!」と理由もなく思ったものです。
私のレトロ好きは、この頃から心のどこかにあったのかもしれません。

先日、クライアントとの打ち合わせのために上京したおり
戸田敦也先生とランチをともにし
打ち合わせ時間まで、表参道を案内していただきました。

同潤会アパートがあったその地には、新しい建物が建っていました。

地上3階地下3階の、通りに面して建つ細長いビルの表参道ヒルズは
思っていたよりも、表参道という雰囲気にマッチしていたように思います。
通りの街路樹が、あの頃よりもさらに大きくなり、でも建物だけが突出することなく。

それは3階建てというビルの高さもあるのでしょうか。
この新しいランドマークも
あと数年経れば、きっと街になじんでいくのだろうなと感じました。

たぶん老朽化ということで再開発されたのかと想像しますが
連休のせいか、あのゆったりと流れる時間はなく、
たくさんの人々が行き交う街でした。

街は変わっていくものなのだなあ。

そうは思っても不思議と寂しさを感じなかったのは
東京という大きな街だからでしょうか。

私が持っていた、数十年前のイメージだった表参道の記憶は
新たに書き換わりました。

はじめまして。戸田ゼミサイト裏方担当のナカガワです!
戸田先生より「コラムを書きませんか?」とお声をかけていただき、
これも何かのご縁と、コラムのスペースをいただくこととなりました。

なにぶんにも『テーマに沿って文章を書き続ける』ことは初挑戦!
テーマからの脱線などなどでてくるかと思いますが
無理なく楽しく書き綴っていくことを目標にしますので
ツッコミながらも温かく見守っていてください。
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宅配牛乳販売店を営んでいた両親は、
定期的にお客さまを集めて、バス旅行に行っていました。
それは旅行会社からの提案や、自ら企画・手配するものもありました。
子供の頃はそういった旅行によく連れていってもらったものです。

そのせいか子供の頃から、地図を見ることが好きで、
出かける先のことを調べることも楽しみとなりました。

今まで知らなかったことを知る喜びや
自然の美しさ、そこに住む人々との交流、街並みなど、
そこから得る感動が、私の旅の楽しさでもあります。

しかし、散歩のような日常の生活の中にも、
そんな気持ちを感じる時が一瞬でもあるのですね。
その一瞬も大事にしたいなと、この頃思うようになりました。

私にとってそういう気持ちは、心のごちそうなのです。
些細なことでも、気持ちが豊かになる気がします。

いつの間にか1週間が終わっているなんて忙しい生活していませんか。
私はそんな時、ちょっとだけでも街を歩いてみます。

今は春。街にはいろんな花が咲いています。

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