昔、学生の頃、
東京をよく歩きまわりました。
映画をみたり、美術館にいったり、街を歩いたり。
今ほど手軽に流行を手に入れることができない頃。
名古屋にはないものがたくさんあって
ワクワクしながら歩いたのを覚えています。
流行の先端を垣間みたり、人の多さにびっくりしながらも
ホッとした気分になれたのが表参道にあった古い建物。
とても印象的でした。
古い建物の中にも、お店がいくつかあって
古さとおしゃれさをカンジた街でした。
その建物が「青山同潤会アパート」という
古い集合住宅であると知ったのは、名古屋に戻ってからしばらくたった後でした。
たまたま雑誌などで見かけたのだと思います。
そこだけ時間がゆっくりと流れていくように感じるノスタルジックな雰囲気は
「いい!」と理由もなく思ったものです。
私のレトロ好きは、この頃から心のどこかにあったのかもしれません。
先日、クライアントとの打ち合わせのために上京したおり
戸田敦也先生とランチをともにし
打ち合わせ時間まで、表参道を案内していただきました。
同潤会アパートがあったその地には、新しい建物が建っていました。
地上3階地下3階の、通りに面して建つ細長いビルの表参道ヒルズは
思っていたよりも、表参道という雰囲気にマッチしていたように思います。
通りの街路樹が、あの頃よりもさらに大きくなり、でも建物だけが突出することなく。
それは3階建てというビルの高さもあるのでしょうか。
この新しいランドマークも
あと数年経れば、きっと街になじんでいくのだろうなと感じました。
たぶん老朽化ということで再開発されたのかと想像しますが
連休のせいか、あのゆったりと流れる時間はなく、
たくさんの人々が行き交う街でした。
街は変わっていくものなのだなあ。
そうは思っても不思議と寂しさを感じなかったのは
東京という大きな街だからでしょうか。
私が持っていた、数十年前のイメージだった表参道の記憶は
新たに書き換わりました。